| ご挨拶 |
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財団法人中央教育研究所は,昭和21年,東京帝国大学(当時)教授海後宗臣らによって民間の教育研究機関として設立され,昭和28年に文部省(当時)所管の財団法人として認可された研究法人です。設立趣意書は,『わが国における教育再建の重要性にかんがみ,広く内外における教育の組織,内容,方法等についての基礎的,実証的な調査研究を行い,もって教育科学の推進に培い,教育現実の発展と文教政策の確立とに寄与することを目的として設立された』と述べています。
第2次大戦後のわが国の教育の再出発と振興に寄与することを目的として,大学研究室から一歩出て自由な立場から学校教育の実践的科学的な調査研究にたずさわることとしたものであります。
その後今日まで,教育とりわけその実践面についてさまざまな調査研究を行い,時期ごとに緊急性の高い課題や基本的な教育課題に対して,適宜に教育現場に情報提供や提言を行ってまいりました。
その間において,昭和47年に東京書籍株式会社の寄付行為により財団の着実な活動が可能となり,設立当初より半世紀以上にわたり民間の教育研究機関として存続し,現在教育界におきまして一定の評価と信頼とをいただくまでになっております。
どうか今後とも皆様方の一層のご支援ご協力をお願いいたします。
設立と経過
1)設立趣旨と「川口プラン」
中央教育研究所は,昭和21(1946)年7月,財団法人三井報恩会の後援による資金を受け,民間の教育研究機関として,有光次郎,小笠原道生(みちお),海後(かいご)宗臣(ときおみ)小林澄兄(すみえ),島内俊三,辻田力(つとむ),三井高雄,村上俊亮の8名の理事により東京神田駿河台に設立された。
戦後の教育再建の重要性にかんがみ,広く内外における教育の組織・内容・方法等について,基本的・実証的な調査研究を行うことによって,教育科学の推進,教育現場の発展,文教政策の確立に寄与することを目的とした。
設立当時は,戦後の混迷,窮迫した社会事情のうちにあり,この種の事業を推進することは容易ではなかったが,関係者一同の強い同志的結合と努力によって,短期間に研究内容を充実していった。
特に多くの力を注いだのは,戦後の新教育の発展にとって中心的な意義と役割を持つと考えられた社会科の研究と実践指導である。
社会科の本質や狙いを明らかにする一つの具体的な方策として,アメリカの社会科で使用されている教科書やワークブックの研究に着手した。そして,新しい教育理念を具体的な形で普及させるための事業として,昭和21年7月から9月までの間に「アメリカの新教科書に関する展覧会」をCIEの後援によって東京,大阪,福岡などの各都市で開催した。
同じく昭和21年,「カリキュラム構成に関する研究」を,当時「鋳物の町」として知られていた埼玉県川口市において始め,翌年3月,「川口プラン」として発表し,全国の注目を集めた。研究の結果は,「社会科概論」「社会科の構成と学習」として刊行し,全国にカリキュラム改造運動を展開する発端となった。
戦後における教材の新編成に大きく寄与する活動などを行った結果,昭和22(1947)年度には,文部省より援助が与えられるなど,本研究所の事業は漸次各方面に認められるようになった。
2)財団法人化
研究の成果があがり,その事業も軌道に乗るにしたがい,名実ともに充実した民間教育研究所にするため,財団法人として組織することとなり,昭和28(1953)年3月,財団法人中央教育研究所として文部大臣より認可された。
理事長には村上俊亮,理事には有光次郎・小笠原道生・海後宗臣・小林澄兄・柴沼直(ただし)が就任し,研究所の事業を進めることになった。その後も海後宗臣・矢口新(はじめ)・飯島篤信(あつのぶ)らを中心として,引き続きカリキュラム改革運動に寄与するとともに,社会科教材映画「おかあさんのしごと」「都市の交通」など数本を製作して視聴覚教育の推進を図り,さらにプログラム学習についての研究,プログラムテキストの発行などを行った。
3)財政基盤の確立と教育課題への対応
昭和47(1972)年以来,東京書籍株式会社から研究所運営資金の寄付を受け,現代の教育課題にこたえる研究活動を行っている。理事の体制を一新し,従来社会科を主として行ってきた調査研究を,国語,算数,理科,家庭科,道徳などに拡大した。
さらに,平成元(1989)年には,凸版印刷株式会社,東京書籍株式会社,東京書籍印刷株式会社,株式会社アストロ教育システム,株式会社フレーベル館,株式会社トッパンから基本財産の寄付を受け,一層充実した調査研究の推進が図られ,また,役員・評議員の陣容も充実・強化された。
このような体制のもとで,新教科である「生活科」の発足に当たって,生活科学習の基盤となる学習環境や関係者の意識などを全国的に調査し,その推移の実態を分析しつつ,平成3(1991)年4月から5(1993)年10月まで,3次にわたって作成した報告書「生活科の学習環境等に関する調査研究」には,各地の教育現場から大きな反響が寄せられた。
また,「総合的な学習」についてもいち早く取り組んだ。従来の教育課程にはない新しい学習領域であるだけに,これを実施するに当たっては多くの障害や困難が考えられたが,平成10(1998)年から平成12(2000)年にわたってまとめた『「総合的な学習」の実践研究(小学校編)』,『「総合的な学習」の実践研究(中学校編)』など一連の報告書は,この新しい学習の実施をめざす学校にとって多くの示唆を与えるヒアリング報告・討論集として評価された。
4)現在の活動
平成15(2003)年以来,毎年,シリーズとして発行している『中研紀要−教科書フォーラム』は通算5号を数え,専門家,実践者による研究報告雑誌として広く読まれている。「学力」や「特別支援教育」などに関する課題については,その調査研究とともに有識者によるシンポジウムを各地で開催し,積極的な取り組みが大きな評価を得ている。平成16(2004)年には,数年来続けてきた学力問題調査研究「21世紀における基礎学力―生活者の求める学力と学校のあり方―」「再考21世紀における基礎学力」の発展として各地の授業実践家の報告を集成し考察した『本当の学力が育つ達人の授業』を東京書籍より出版した。
各年度に2〜3点発行する「研究報告」は平成19(2007)年6月現在で通算67号となった。さらに「21世紀における学校教育・国語科の在り方」,「食育に関する調査研究」,「国際学力調査のデータ分析と教育方法の国際比較」などの調査研究も行っている。また,支援事業としては,サイエンス・ナビゲーターの全国的な講演活動や和算文献のモデル目録の作成をサポートしている。
今後もいっそうの基本的・実証的な調査研究の推進を図り,新たな教育課題に積極的に取り組み,日本の学校教育の発展に寄与していきたい。
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